東京の下町工場に潜入!一度使ったらやみつきになる「LIFE(ライフ)」のノート
ドラマ『陸王』や『下町ロケット』で描かれたような、中小企業が大企業に立ち向かうストーリーは、現実にも存在します。東京の下町で創業した老舗の紙製品・ノートメーカー「LIFE(ライフ)」は、わずか20人ほどの従業員で、文具ファンやクリエイターに愛されるノートを生み出しています。
一度書いたらやみつきになる!ノートの魅力とは?
一度使ったら手放せなくなる、書き心地の良さで知られる「LIFE」のノート。東京の下町で生まれたこのブランドは、長年培われた職人の技術とこだわりで、今やLOFTや東急ハンズなどでも人気を誇る日本有数の紙製品ブランドとなりました。
この記事では、MATCHAの編集者が齋藤社長とともに、工場の様子からノートの魅力までご紹介します。
東京下町が作り出す「紙の奇跡」

1940年代に創業した紙製品の老舗「LIFE」は、現在、3代目の齋藤社長が経営を引き継いでいます。創業当初、高級紙製品に特化し、主に企業向けに事務手帳を販売していましたが、好評を得た後も大量生産には踏み切りませんでした。代わりに、「使う人」の立場に立ち、「一ページも無駄にしたくない」「使い切ったらまた買いたい」と思ってもらえるノートづくりを追求してきました。
妥協のない品質へのこだわり

「LIFE」は自社工場を持たない経営スタイルです。そのため、齋藤社長は時間を見つけては、連携している東京下町の製本・印刷工場を巡回します。作業場に入る前には、神社で参拝する前に手水舎で身を清めるように、必ず手を洗うのがルールだそうです。

Picture courtesy of LIFE
機械だけでは作れない、手作業での丁寧な製本。この工程では、職人の高い技術と判断力が非常に重要になります。しかし、職人の高齢化と後継者不足という課題に直面した「LIFE」は、熟練の職人を社内に招き、若い社員にノートづくりの技術を一から教え始めました。現在、「Noble(ノーブル)」シリーズの生産は、すべて社内で行われています。
オリジナル「ライティングペーパー」の特徴
一度書いたら忘れられない、なめらかな書き心地のオリジナル用紙「ライティングペーパー」。紙の抄造(しょうぞう)から製造工程に携わり、品質を徹底して管理しています。
この紙は、本のようにスムーズにページをめくることができ、長時間書いても目が疲れにくいクリーム色が特徴です。両面の繊維が均一で、インクがにじみにくく裏抜けしにくいため、万年筆での筆記にも最適です。
書きやすくて使いやすいノートの製造工程
今回、筆者はLIFEの東京・足立区にある流通センター倉庫を訪問。ここは、日本国内や世界20カ国以上に出荷されるノートの在庫を管理する場所であり、「Noble(ノーブル)」シリーズの小さな生産工場も併設されています。

Nobleシリーズには、A4、A5、B5、B6など様々なサイズがあります。サイズが大きくなるほど時間と人手がかかり、1ヶ月に生産できるのは平均して2万冊にも満たないそうです。1時間で5,000冊を生産する大手文具メーカーと比べると、その差は歴然です。LIFEのノートは、熟練した職人が一枚一枚丁寧に、時間をかけて作り上げることで、文具ファンを魅了する商品となります。

手作業による美しい糸かがり綴じも、LIFEの特徴の一つです。Nobleシリーズでは、100ページを2冊分、丁寧に縫い合わせることで、バラバラになりにくい丈夫なノートに仕上げています(ページ数はシリーズやサイズによって異なります)。

また、特殊な接着剤と伸縮性に優れた表紙を使用し、乾燥させることで、しっかりとした丈夫な背表紙が完成します。
人気のノートシリーズ

ノートの定番は、方眼、無地、横罫の3種類。その中でも最も人気なのが、レトロな欧米風デザインの表紙が特徴の「Noble(ノーブル)」シリーズです。このデザインは、約10年前に倉庫の整理中に偶然見つかったものだそうで、作者は今も不明だといいます。その落ち着いたデザインが「LIFE」の信頼できるイメージに合うと、現在まで採用され続けています。

「Clipper(クリッパー)」シリーズは、豊かな想像力を持つクリエイターのために作られたスケッチブックです。大きな紙面を使い、自由にアイデアを広げることができます。

Picture courtesy of LIFE
単語の暗記に便利な「単語カード イコール方眼」は、握りやすいサイズと、屋外でも書きやすい硬めの紙質が特徴です。

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職人による手作りの「本革ペンケース」は、実用性と美しさを兼ね備えた大人のデザイン。消しゴムや複数のペンを収納でき、見た目もおしゃれです。

Picture courtesy of LIFE
最近発売された「MARGIN(マージン)」シリーズは、用紙に引かれた赤い線が特徴です。日付やテーマごとに書く場所を分けられるので、見返したときに重要なポイントをすぐに見つけられます。また、フラットに開く製本方法で、きれいに切り離せるのでメモ用紙としても使えます。
クラフト紙の表紙に、イエロー、レッド、ブルーの3色でロゴが型押しされた、洗練されたミニマルなデザインも人気です。
最後に
なぜこれらの日本製ノートが、あえて欧米風のデザインを採用しているのか、不思議に思うかもしれません。それは、「LIFE」が国籍を問わず、多くの人にノートの魅力を知ってほしいと願っているからです。
電子機器が主流の現代でも、誰のためでもない、自分のために、ふと思いついたことを一ページに書き記すことは、心を豊かにしてくれる大切な時間になるでしょう。
「LIFE」のノートはどこで買える?
伊東屋、丸善、LOFT、東急ハンズ、鳩居堂、有隣堂など、全国の主要文具・雑貨店で販売されています。
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In cooperation with ライフ株式会社